東京慈恵会医科大学附属柏病院

小井戸 薫雄先生

施設住所:〒277-8567 千葉県柏市柏下163-1

メッセージ

① 「新規WT1ペプチドカクテル」(Neo-WT1と略す)が、効率よくWT1に特異的な抗腫瘍免疫を誘導できることを世界に先駆けて報告した。Neo-WT1は大阪大学・杉山治夫教授が、最近開発したペプチドカクテルである。Neo-WT1は、従来のWT1ペプチドと異なり、さまざまな機能を有することが大きな特徴である。

② Neo-WT1をパルスした樹状細胞ワクチン(Neo-WT1-DCと略す)と多剤併用化学療法(Nab-P/Gem)からなる新規免疫化学療法を世界に先駆けて開発・実施した。すなわち、Neo-WT1-DCを用いた世界初の臨床試験である(2024年報告)。この治療を受けた10例の切除不能進行膵管腺癌の安全性、臨床転帰、およびWT1特異的免疫応答を検討した。治療奏効率 70.0%、病勢制御率100%を達成することができた。全例安全に実施が可能であった。予後解析が可能であった9例において、無増悪生存期間の中央値は2.23年、全生存期間の中央値は3.52年で、標準化学療法と比較し優れた治療成績であった。興味深いことに、本治療法により、10例中7例で外科的切除が可能となった。完全切除が可能となった症例は6例にみられ、4例は5年以上の長期間生存が認められた。しかし症例数が少ないため、今後の治験が望まれる。

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